エピソード:冷めない水筒

あるシベリアの職人が、酷暑のインドで開かれた展示会にベレスタを出品したときのこと。職人は、朝、ベレスタの水筒に氷水を入れて会場に持参しました。インドでベレスタ・・・は人気がなく、商品は大部分売れ残っていました。夕方、職人が、ベレスタの水筒の水を飲んでいると、近くにいたインド人が、彼の水筒の水が冷たいことに気づきました。最新技術のステンレス製の水筒でさえ酷暑のインドでは冷気を保てないのに、ベレスタの水筒の水は冷たいままだったのです。その保冷性能が周囲のインド人たちに伝わると、展示会で販売中だったベレスタがあっという間に売り切れた、ということです。

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鎮痛鎮静の癒し

白樺の精油(バーチ)には、鎮痛鎮静効果があります。バーチの主成分は消炎作用をもつサリチル酸メチルで、湿布などにも使われています。ロシアでは、白樺が痛みを取り去り、健康をもたらすと考えられており、体調が悪いときや興奮しているときに、森に行って、白樺をじっと眺めたり、腕で抱きしめたりすると、まもなく気分が落ち着くといわれています。

白樺樹皮で作られたベレスタには皮膚を刺激する物質が含まれず、静電気も引き起こさないので、肌に触れるアクセサリーやヘアアクセサリーにも向いています。

鎮静のためには、しばらくの間ベレスタを眺めたり、それを手に握ったりするといいそうです。コンピュータの仕事を長時間続ける人は、ベレスタの指輪をすると疲れが取れ、時には血圧が安定するとも言われています。

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フィトンチットの癒し

白樺には、強力な抗菌、抗ウィルス、抗細菌作用があります。白樺の極微量のフィトンチッド(*)の成分が昼夜を問わず常に健康のために闘ってくれます。

【用語解説:フィトンチッド(phytoncide)とは、微生物の活動を抑制する作用をもつ、樹木などが発散する化学物質。植物が傷つけられた際に放出し、殺菌力を持つ揮発性物質のことを指す。ウィキペディアより

ロシアではソ連時代、白樺アロマの強い抗菌効果により、白樺の森は手術室よりも数倍清浄である、とも言われていました。

白樺のつぼみや小枝、溶液には治療効果があり、頭痛を解消します。

白樺は「暖かい木」と呼ばれ、寒いときにベレスタに触ると暖かさが感じられます。

また、空気を浄化する方法もよく知られています。白樺の樹液を数滴、部屋のすみに垂らすと、部屋の空気が明らかにきれいになります。昔は、部屋の隅にはそのための場所が用意されていたそうです。

日本にも白樺にまつわるエピソードがあります。太平洋戦争中、共同生活を送る軍人の宿舎ではよく「水虫」が流行しました。ある宿舎で、一人だけ水虫にならない兵士がいました。実は彼はアイヌ民族出身で、宿舎では「白樺のスリッパ」をはいていたそうです。白樺スリッパの殺菌効果のおかげで水虫にならなかった、という話です。

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天然防腐

白樺の皮は腐りにくく、考古学的に発掘された数百年前のベレスタや白樺の手紙が、腐敗せずに原形をとどめていることから、その防腐効果が実証されています。

ベレスタは水を通さないので、水洗いができます。ロシアでは、ベレスタの筒の内側に蜜蝋をぬって防水性を高め、ミルクやハチミツなど液体の保存にも利用されています。ベレスタにミルクを入れると2週間は腐敗しないし、魚、肉、きのこ等も長期間鮮度が保たれます。

穀物や小麦粉をベレスタの筒や容器に入れると虫がつきません。ベレスタの容器でパンを保存すると通常よりもずっと長く品質を保持できます。

ベレスタは、食品の余分な湿気を除去します。ベレスタは虫よけに最適であり、時には毛皮(コートや帽子)の収納に使われることもあります。

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ベレスタの製法、職人技

伝統的なベレスタ制作の技法は、職人によって引き継がれるとともに、マスタークラスなどの体験学習の場を通じて子供たちや若い人たちにも伝えられています。 たぐいまれな自然素材と、熟練職人のコラボレーションから、「初めて見た!」「こんなのが存在するとは思わなかった!」と人々に驚きと喜び、感動を与える作品が作られています。

型押し

シート状の白樺樹皮に模様や絵柄を刻み付けるために、絵柄を彫刻した、木製や金属製、骨製の「たがめ(凸凹をつける工具)」や「スタンプ」が使われま・・・

縁かがり

シベリア地方の白樺樹皮は動物の皮革のように強靭で柔軟なので、ひものようにして編みこむことができます。接着剤を使わずに、樹皮ひもによるかがり編・・・

カッティング

職人はたった一本のナイフから様々な形状のカッティング装飾を作り上げます。パターン化された文様も使われ、透かし彫りの場合はその下の模様も楽し・・・

キャニスター・筒

筒の制作はベレスタ手工芸の中で最も複雑なものの一つです。筒側面に白樺樹皮が使われ、底とふたはマツやシベリア杉の木質が使われます。折り返しタイ・・・

絵画、ラッカー

ベレスタの筒や小物入れには、よく絵が描かれます。筒全体に色を塗って、そのうえに更に絵を描く場合もあります。絵を描く前に糊や、下塗チョークと、・・・

手編み細工

白樺樹皮をカットして作ったひも状の樹皮を使い、縦糸と横糸を編みこんで作る方法は、古代からベレスタの製法として使われています。ロシアでは古代か・・・

型押し

シート状の白樺樹皮に模様や絵柄を刻み付けるために、絵柄を彫刻した、木製や金属製、骨製の「たがめ(凸凹をつける工具)」や「スタンプ」が使われます。

白樺樹皮を2~4層重ねて筒状にし、底を張り付けて容器を作ります。ふたと側面には、様々な模様や絵柄が刻印されます。耐久性を高める目的で、伝統的手法で、焦げ色に見えるような着色がほどこされます。

絵柄には、職人が一番好きなものを描くのがよいとされ、シベリアの自然、動物、草花、鳥、動物、農村の生活などが描かれています。複数のスタンプを使って非常に複雑な模様を描くこともあります。

着色部分は、洗浄をかさねると水に溶けだして色が薄くなる場合があります。が、容器内側は無着色で、防水、防腐効果があるので、食品の保存にも適しています。

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縁かがり

シベリア地方の白樺樹皮は動物の皮革のように強靭で柔軟なので、ひものようにして編みこむことができます。接着剤を使わずに、樹皮ひもによるかがり編みによって素材を連結する伝統手法が受け継がれています。

縁かがりには、木の根、白樺樹皮、柳の枝、なわ、ワイヤーなどが使われます。ふたの開閉に弾力を与えるため、ふたと接触する開口部に縁かがりがされたり、飾りとして側面や容器底部にも縁かがり装飾が付けられることもあります。

紐を通す穴を一つ一つ開けて、手作業でひもを通してきっちり編みこみますので、製作は大変な重労働です。

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カッティング

職人はたった一本のナイフから様々な形状のカッティング装飾を作り上げます。パターン化された文様も使われ、透かし彫りの場合はその下の模様も楽しむことができます。

装飾模様

原色や伝統手法で着色された、色合いの異なる樹皮を2~3枚重ねて、それぞれに繊細な彫り模様がつけられ、立体感のある装飾が作られます。

多重柄

白樺樹皮を細かくカットし重層的に貼り付け、更に細かい装飾を施した、「神の手職人」の作品。色調の異なる樹皮装飾が、少なくても4層、最大で10層も重なっています。はっと目を引く美しい完成度の高い作品が作られています。

透かし彫り

厚みがあり傷の無い最高品質の白樺樹皮を惜しげもなくカットして、涼しげな透かし彫りのプレートが作られています。職人が彫刻刀で一刀一刀カットするものでは、少しのミスも許されず、それゆえ無傷の完成品ができると「神の手職人」と賞賛されます。が、品質が悪いときは「酔っぱらって作った」と揶揄(やゆ)されることも・・。

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キャニスター・筒

筒の制作はベレスタ手工芸の中で最も複雑なものの一つです。筒側面に白樺樹皮が使われ、底とふたはマツやシベリア杉の木質が使われます。

折り返しタイプの筒は、長めの内筒と外筒を重ね、上下に突き出た内筒の端を蒸気で蒸してやわらくし、めくって、外筒の上にかぶせ、柳の細枝でしっかり結んで固定します。

ふたの開閉に弾力を与えるため、上部に縁かがりがされたり、飾りとして底部にも縁かがりがされたりします。

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絵画・ラッカー

ベレスタの筒や小物入れには、よく絵が描かれます。筒全体に色を塗って、そのうえに更に絵を描く場合もあります。絵を描く前に糊や、下塗チョークとにかわを混ぜた塗料で下塗することもあります。テンペラ画絵具、油絵具を使って描く場合もあります。

白樺の皮は薄いため、通常、ベレスタの容器には、白樺樹皮を2~4枚重ねてプレス(圧縮)した材料が使われます。一方、皮一枚に天然の塗料(樹脂や蜜蝋、松脂で作られた天然のラッカー)を塗って、強度と耐久性を高める技術もあります。絵を描いた後でラッカーを上塗りする場合もあります。完成品にアマニ油またはひまわり油を塗ることもあり、これにより製品に輝きがでます。

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手編み細工

白樺樹皮をカットして作ったひも状の樹皮を使い、縦糸と横糸を編みこんで作る方法は、古代からベレスタの製法として使われています。

ロシアでは古代から、防水、保温保冷、天然防腐効果のあるベレスタの靴(長靴、スリッパ)、きのこやベリーを集めるショルダーバッグやバスケット、食器カゴ、子供のおもちゃなど様々な生活用品が作られ使われてきました。素朴な手編みカゴは和風の生活にもとてもよく合います。

垂直織と斜め織

手編み作品には、樹皮ひもを斜めに交差させる「斜め編み」と、垂直に交差させる「垂直編み」があります。 「垂直編み」は、マット、ブックカバー、箱など、平面(角形)の作品を作る場合に適しています。 「斜め編み」はカゴ、花瓶、小物入れ、ベルトなどで、「斜め織」の方が制作しやすく、かつ耐久性があります。

ベレスタの材料

ベレスタはロシア語で「白樺の表皮」を意味します。
世界中の寒冷地(北欧やカナダなど)で、白樺樹皮の手編みカゴが作られていますが、シベリア地方の白樺は特殊です。

森で採集

より上質の材料を求める職人は、自ら森林に入り、樹皮を採取します。樹液が循環する春と秋に数日間だけ、樹皮がはがれやすくなる時期があります。その時期は、樹皮に弾力があり・・・

材料の選別

白樺の皮は層状になっていて、表皮は純白または黄色がかった白い(黄カバ)薄皮です。白樺樹皮の内側の層は、木の幹に向かって黄色から茶色までの陰影があります。天然で様々な・・・

材木から

春と秋、建築用の白樺材の伐採の時期にあわせ、材木用に切り倒された白樺から、樹皮が採取されます。・・・

タイガ(森林)で樹皮を集める

より上質の材料を求める職人は、自ら森林に入り、樹皮を採取します。樹液が循環する春と秋に数日間だけ、樹皮がはがれやすくなる時期があります。その時期は、樹皮に弾力があり、木に損傷を与えることなく、皮を幹から容易に剥ぐことができます。この時期に採取した樹皮には深い型押しが可能です。立木から樹皮をはがす場合は、木を枯らさないように茶色い薄皮を残します。そうすると約7年ほどで樹皮が再生します。

制作に適した最良のベレスタは、樹齢20~40年もので、木の幹の直径が150~350mm、平滑(なめらか)で、均一で、傷(節、切り傷、裂け目)の無いもの、白樺に特有の水平の線条が入り、丸くないものがいいとされています。最も適しているのは、ほどほどに湿度があり、ほどほどに陰がある場所に生育した白樺です。

ベレスタ制作に使える、節くれの無い美しい白樺は非常に稀で、百本に一本あるかないか。ベレスタ職人は、美しい樹皮材料を求めて、一ヵ月ほどかけて、タイガ(森林)を数百キロも旅します。

これは原則として、森林伐採にあたるので、白樺樹皮を採取する前に、採取する場所を申告し、森林管理機関から公式の許可を得なければなりません。ロシアの白樺材は、自然保護の観点から伐採量が制限され、樹皮の売買にも税金がかけられています。

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材料の選別

白樺の皮は層状になっていて、表皮は純白または黄色がかった白い(黄カバ)薄皮です。白樺樹皮の内側の層は、木の幹に向かって黄色から茶色までの陰影があります。天然で様々な色彩をもち、茶色から金色、チョコレート色、ベージュ色(白クリーム色)など他の樹木に見られない色もあります。白樺の皮は、木でも紙でもありませんが、それをシート状にして、皮革のように、紙のように、折り曲げたり、折ったりできます。

白樺樹皮は多層で、すべての層が使えるわけではなく、作品に必要な層を選別します。小さな作品には薄い層、大きく頑丈な作品にはより厚い層が使われます。

樹皮には白樺特有の木目があり、若木の木目は短く細く、成熟した木の木目は長く太いのが特徴です。

成熟した木の樹皮には瘤(こぶ)やシミによる模様があり、その野性味も魅力の一つと考えられています。

材木

春と秋、建築用の白樺材の伐採の時期にあわせ、材木用に切り倒された白樺から、樹皮が採取されます。

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