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ベレスタの材料 - 白樺の皮

ベレスタはロシア語で「白樺の表皮」を意味します。世界中の寒冷地(北欧やカナダなど)で、白樺樹皮の手編みカゴが作られていますが、シベリア地方の白樺は特殊です。

マイナス50℃の厳しい気候下で育つため、樹皮が緻密で油分が多く、弾力性に富み、冷気を遮断し、湿気や空気を通さないことで木の幹を守ります。 その物理的な特徴から、ベレスタは動物の皮に非常に似ています。

白樺樹皮は層状になっていて、表皮は純白または黄色がかった白い(黄カバ)薄皮です。 白樺樹皮の内側の層は、木の幹に向かって黄色から茶色までの陰影があります。天然で様々な色彩をもち、茶色から金色、チョコレート色、ベージュ色(白クリーム色)など他の樹木に見られない色もあります。

白い薄皮をはがし、層状の皮を慎重にはがしたものが、ベレスタの材料となります。

白樺樹皮は、木でも紙でもありませんが、それをシート状にして印字したり、紙のように柔軟に曲げたりできます。

ベレスタの特徴

エピソード:さめない水筒

あるシベリアの職人が、酷暑のインドで開かれた展示会にベレスタを出品したときのこと。職人は、朝、ベレスタの水筒に氷水を入れて会場に持参しました。 インドでベレスタ――は人気がなく、商品は大部分売れ残っていました。夕方、職人が、ベレスタの水筒の水を飲んでいると、近くにいたインド人が、彼の水筒の 水が冷たいことに気づきました。最新技術をステンレス製の水筒でさえ酷暑のインドでは冷気を保てないのに、ベレスタの水筒の水は冷たいままだったのです。 その保冷性能が周囲のインド人たちに伝わると、展示会で販売中だったベレスタがあっという間に売り切れた、ということです。

【筆者がNovosibirskのベレスタ職人から聞いた話】

鎮静

白樺の精油(バーチ)には、鎮痛鎮静効果があります。バーチの主成分は消炎作用をもつサリチル酸メチルで、湿布などにも使われています。ロシアでは、 白樺が痛みを取り去り、健康をもたらすと考えられており、体調が悪いときや興奮しているときに、森に行って、白樺をじっと眺めたり、腕で抱きしめたりすると、 まもなく気分が落ち着くといわれています。

白樺樹皮で作られたベレスタには皮膚を刺激する物質が含まれず、静電気も引き起こさないので、肌に触れるアクセサリーやヘアアクセサリーにも向い ています。鎮静のためには、しばらくの間ベレスタを眺めたり、それを手に握ったりするといいそうです。コンピュータの仕事を長時間続ける人は、 ベレスタの指輪をすると疲れが取れ、時には血圧が安定化するとも言われています。

【筆者がロシア人から聞いた話】

抗菌

白樺樹皮には、抗菌作用をもつベツリン(betulin、トリテルペン化合物)が大量に含まれています。天然のトリテルペン化合物は、抗炎症, 抗腫瘍, 発がん予防, 抗ウイルスや抗菌作用など多彩な生理機能があると報告されています。ベツリン粉末は純白の物質で、これが白樺の色に現れています。

ベレスタは、強力な抗菌、抗ウィルス、抗細菌作用を持つ。ベレスタの極微量のフィトンチッド(*)の成分が昼夜を問わず常に健康のために闘ってくれる。例えば、口内炎。これは口腔内の病気でカンジダ菌によって生じる。これもまたベレスタの専門だ。ヘルペスウィルスに対するベレスタの効果もまた証明されている。

【用語解説:フィトンチッド(phytoncide)とは、微生物の活動を抑制する作用をもつ、樹木などが発散する化学物質。 植物が傷つけられた際に放出し、 殺菌力を持つ揮発性物質のことを指す。ウィキペディアより

日本でも太平洋戦争中、共同生活を送る軍人の宿舎ではよく「水虫」が流行しましたが、一人だけ水虫にならない兵士がいました。 実は彼はアイヌ民族出身で、宿舎では「白樺のスリッパ」をはいていたそうです。白樺スリッパの殺菌効果のおかげで水虫にならなかった、 という話です。

【筆者が北海道留萌市の古老から聞いた話】

防腐

ベレスタは水を通さないので、水洗いができます。 ロシアでは、ベレスタの筒の内側に蜜蝋をぬって防水性を高め、ミルクやはちみつなど液体の保管にも利用されています。

ベレスタにミルクを入れると2週間は腐敗しないし、魚、肉、きのこ等もまた長期間鮮度が保たれます。穀物や小麦粉をベレスタの筒や容器に入れると虫がつきません。更に、ベレスタは、食品の余分な湿気を除去します。ベレスタは虫よけに最適であり、時には毛皮(コートや帽子)を保管することもあります。

ベレスタの容器でパンを保存すると通常よりもずっと長く品質を保持できます。また、空気を浄化する方法もよく知られています。白樺の樹液を数滴、部屋のすみに垂らすと、部屋の空気が明らかにきれいになります。昔は、部屋の隅にはそのための場所が用意されていたそうです。

樹皮材料

材木

春と秋、建築用の白樺材の伐採の時期にあわせ、材木用に切り倒された白樺から、樹皮を採取することができます。

木の幹(材木になる部分)は逆に耐久性が弱く、自然に腐敗します。シベリアの森では、立ち枯れた白樺(外観は立派だが、押すと中身がスカスカで倒れる)や、美しい樹皮を保持したままの倒木などを見ることがあります。

採集

より上質の材料を求める職人は、自ら森林に入り、樹皮を採取します。樹液が循環する春と秋に数日間だけ、樹皮がはがれやすくなる時期があります。 その時期は、樹皮に弾力があり、木に損傷を与えることなく、木の幹から容易に剥ぐことができます(7-9年で樹皮は再生します)。この時期に採取した樹皮には深い型押しが可能です。一年の他の時期に採取した樹皮ではそれができません。

制作に適した最良のベレスタは、樹齢20~40年もので、木の幹の直径が150~350mm、平滑(なめらか)で、均一で、傷の無いもの(節、切り傷、裂け目)、白樺に特有の水平の線条が入り、丸くないものがいい。最も適しているのは、ほどほどに湿度があり、ほどほどに陰がある場所に生育した白樺です。

ベレスタ制作に使える、節くれの無い美しい白樺は、百本に一本あるかないか。ベレスタ職人は、1ヶ月ほどかけて、美しい白樺樹皮を求めて、タイガ(森林)を数百キロも旅します。

これは原則として、森林伐採にあたるので、白樺樹皮を採取する前に、採取する場所を申告し、森林管理機関から公式の許可を得なければなりません。ロシアの白樺材は、自然保護の観点から伐採量が制限され、樹皮の売買にも税金がかけられています。

歴史

太古から

ベレスタの歴史は有史以前にまでさかのぼり、ロシアの農村では、漁師のカヌー、キノコやベリーを集めるバスケット、物入れ、食器、保存容器、履物(スリッパや長靴)、帽子、アクセサリー、など生活に使われる様々な道具がベレスタで作られてきました。

大昔から人々は、ベレスタの癒しの効果を知っており、貧しさと縁を切るため、また、 健康で、リューマチやその他の病気を防ぐために、ベレスタの靴をはいたり、白樺の切れ端を持ち歩いたりしてきました。

キリスト教以前の民間信仰や、芸術、絵画もベレスタとともに発展しました。ロシアの農村には今でも、森の神、家の神、太陽神などを敬う伝統が息づいています。

証文

ロシアでは、古・中世ロシア(9~15世紀)に作られた、白樺樹皮に金属や骨でできた尖筆で「ひっかいて」文字や手紙を書いた「白樺文書」が、 完全な形で多数発掘されています。

土中でも樹皮が腐敗せずに原型をとどめていることから、白樺樹皮の防腐性が実証されています。

【参考文献:白樺の手紙を送りました―ロシア中世都市の歴史と日常生活-V-L-ヤーニン

用途

伝統的に白樺は、ありがたく、清潔な木だと考えられています。その木質から皿、食器、スプーン等の様々な台所用品が作られ、その皮から、 円筒状の箱や、食品や液体の保存に使われる樹皮製の容器などが作られてきました。

ミルクやサワークリーム、蜂蜜、油などの液体用には、天然の樹脂や蝋(ろう)を塗って防水性を高めたベレスタの容器が作られています。

小麦粉、穀物、パン、茶葉などの乾燥物の保管・貯蔵にベレスタの箱や容器が使われています。

キノコやベリーを集めるバスケット、ジュエリーケース、裁縫道具入れなど用途はさまざまです。

現在、シベリアでは、他のロシアのどの地よりも更に盛んに、熟練職人の技巧が復活しており、ベレスタ産業が最も盛んです。 小物入れ、筒、パンケース、アクセサリーなど一般的なものから、名前入りフォルダー、女性用バッグ、装飾箱(化粧箱)、宝石作品、高級なワイン・ウォッカのグラスセット、ブックカバー、メモ帳など、 ベレスタの作品は、インテリア装飾におなり、温かく快適な生活をもたらしてくれます。

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